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メイクアップシール「43系 夜行急行 八甲田」発売開始! 

先日の富塚通信にてお伝えしましたメイクアップシール新商品
「43系 夜行急行 八甲田」が、いよいよ発売開始となります。

本日の富塚通信は、メイクアップシール「八甲田」の詳報を
お伝えしようと思いますが、その前に少しばかり実車の「八甲田」に
ついて触れさせて頂きます。
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EF57が牽引する「八甲田」
「八甲田」と同時に発売されたEF57-1。パンタグラフの位置が特徴的


1956年から国鉄では北海道や九州などへ往復が可能、
さらに目的地にて急行、普通列車の自由席が追加料金なしで
何回でも乗車可能な均一周遊乗車券の発行を開始。
後のワイド周遊券です。様々な条件はあるものの周遊券の無料
乗車可能な期間は東京や大阪発着である場合、最大20日間と
非常に長い日数が有効となっていました。

また往時、国鉄の路線では東京から東北・北海道方面へ、
関西から九州・北陸方面へ長距離夜行急行を盛んに運行して
いました。
これらの多くの列車では周遊券が利用可能な自由席の普通車も
連結していましたので、非常にコストパフォーマンスの良い
周遊券を利用しつつ、移動時間と宿泊費の節約できる夜行列車は、
若い旅行者にとってはまさに魅力的な列車でした。

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ワサフ+スハフ42
当時の撮り鉄ファンの間では、どうやらワサフは不人気だったようですが、
今にして思えばなんと贅沢な編成だったことか…


そんな東北筋の夜行急行には、「八甲田」の他にも「津軽」や
「十和田」などがあり、東京と東北・北海道を結ぶ足として
活躍を続けていました。

模型のプロトタイプとなった1975年の「八甲田」は、この年の
編成から最後尾に連結される寝台車が仙台─青森間だけに
変更されています。
実は、鉄道を利用して北海道を訪れる観光客数はこの年を
境にして急激に減少に転じ、わずか2年後の1977年には飛行機を
利用して北海道へ行く人が鉄道を上回ったのでした。

端的にみると東京から北海道までの交通手段として、鉄道と
航空輸送の競争が激しさを増していく時代に突入した、
現実には逆転を許してしまったいわばターニングポイントに
当たる年代の編成ともいえるわけです。


さて、そんな時代の「八甲田」をプロトタイプに製作された
この度の「43系 夜行急行 八甲田」ですが、
今回のメイクアップシール「43系 夜行急行 八甲田 
13両セット」は、2014年10月に発売されましたKATOの
・品番:10-1235 「43系夜行急行 八甲田 7両基本セット」
・品番:10-1236 「43系夜行急行 八甲田 6両増結セット」

両方の模型に対応した13両フル編成パッケージとなります。

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対応車両は次の通りです。
・ワサフ・オユ10・スハフ42×3両・スロ62・ナハ11×2両
・スハ43×4両・スハネ16


1975年の4年後には12系客車へ、後に14系客車へと置き換えが
計られた「八甲田」ですが、シールでは10系客車の「八甲田」と
いう事でシールのデザインを行っておりますが、
やはり今回の注目は荷物車「ワサフ」となります。

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ワサフ8514

メイクアップシールでは初となる完全荷物車「ワサフ」です。

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肝心の荷物室部分は写真の通りですのでシール化は難しい分、
ワサフは乗務員室周りを中心にシール化を行っています。

お客様から「貨物車の内装はシール化するのですか」という、
ご質問を頂戴しておりました今回のワサフ。

見えないところも可能な限りシール化していく事をコンセプトに
しています私共にとっては、端からシール化を行わないなどという
選択肢はありませんでした。

ただ、今だから言える事ではありますが、「ワサフ」の内装を
確認するまでは果たしてどれくらいシール化できるものなのか
不安だったのもまた事実です。


さて、「ワサフ」以外の車両は、これまでメイクアップシール化を
行ってきました「10系寝台客車」。また、その流れを汲む10系の
「津軽」「能登」「妙高」や「ニセコ」にてシール化を行った車両と
基本的には同じ車両が用いられています。

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オユ10

とは書きつつも、これは模型内装に限った話であり、プロト車両の
選択に関しては、やはり「八甲田」を意識した選択が行われています。

例えば、郵便車「オユ10」。
今回、KATOでは「オユ10-2512」を設定していますが、このオユは
北海道所属の形式でもともと耐寒仕様となっている車両なのです。

ちなみに、同じくKATOから発売されている「急行 ニセコ」のオユ10は、
2560です。この形式は、一般仕様のオユを後に改良した車両である
事が分かります。

今、本ブログの執筆時点で、「八甲田」のオユ10と「ニセコ」の
オユ10を実際に比較する事が叶いませんので、模型の成型上どれ
くらいの作り分けが行われているのか分かり兼ねるのですが、
少なくともプロトタイプとした列車編成に合わせた車両の形式を
しっかり選択してくる所に、KATOのこだわりが感じられます。

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スハフ42

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ナハ11

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スハ43

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スロ62

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スハネ16

先述の通り寝台ベッドはスハネ16のみで、他は全て座席車が
主体となっています。
ちなみにシールでは座席とベッドどちらもベースは青モケット
となっていますが、実車に合わせて微妙に青味に違いを持たせて
います。

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スハネ16 ベッドカーテン使用

もちろん八甲田編成用の「カーテン・ブラインドシール」も付属。
写真は、スハネ16の寝台用ベッドカーテンです。
座席車用には、窓ガラス用のブラインドシールが同梱されています。



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「43系 夜行急行 八甲田 13両セット」

今回、メイクアップシールの商品化に際し、この時代の「八甲田」に
関する資料に目を通して分かった事は、「座り心地は最悪」
「乗車時間も約半日と長い」、当然「列車編成の統一感や編成美など
一顧だにされていない」という、近年の鉄道事情からしてみると、
列車が本来兼ね備えているべき最低限(?)のファクターが全く
成立していなかったということです。

1975年。計算してみると凡そ40年前の東北本線を、夜行急行
「八甲田」は走っていたことになります。
この歳月が果たして長いのか、それとも思った程昔の事では
なかったのか。

しかし不思議なもので、ないないだらけの「八甲田」だからこそ
あった「時代の懐かしさ」のようなものを感じるのは筆者だけ
でしょうか。

本当は「メイクアップシール」の発売情報のはずが、東北筋の
それも夜行列車の話になると、どうも内容が感傷的になって
しまいますが、それも「八甲田」の魅力の1つなのかもしれません。

是非、本日より発売開始のメイクアップシール「43系 夜行急行
八甲田 13両セット」で、夜行急行「八甲田」の魅力を再発見
して頂ければと思います。

 

category: 43系夜行急行八甲田

Posted on 2014/12/17 Wed.   edit  |  tb: 0   cm: 0