サンライズ乗車記5
JRの大社駅を見学後、出雲大社から須佐神社を辿りながら、
神話に照らし合わせる形で「やくも」と「出雲」のヘッドマークに
ついて考察してみた前回のサンライズ乗車記。
今回は山陰地方で活躍した残りの特急列車に関する
土地を巡る、サンライズ乗車記の最終話です。
さて、出雲神話と聞いて多くの人が思い浮かべる有名な
神話といえば、おそらく前回の記事で紹介した「八岐大蛇
退治」か「因幡の白兎」ではないでしょうか。
「因幡の白兎」と聞けば、鉄道ファンなら直ぐに特急「いなば」と
特急「はくと」が浮かんでくると思います。
特急「はくと」は、1994年に智頭急行の智頭線が開通した
ことに合わせ、特急「スーパーはくと」と同時に運行を開始。
尚、特急「はくと」にはキハ181系の車両が使われ、
「スーパーはくと」を補完する目的で投入されました。

「はくと」ヘッドマークのキハ181系
特急の「出雲」が1972年に設定されたことと比較すると、
「はくと」は90年代の登場という事で、どちらかと言えば
新しい特急です。
今にして思えばキハ181系の特急「はくと」には、昭和時代の
趣が色濃く残っていたように思うのですが、最新型の自然
振り子機構を持ったHOT7000系と比べると運行速度だけに
とどまらず、車内設備にも雲泥の差がありました。

HOT7000系スーパーはくと
1997年にHOT7000系の増備車両が投入された時点で、
「はくと」は「スーパーはくと」に統一される形で消滅。
およそ3年という短い活躍に留まりました。
尚、特急「いなば」は、特急「はくと」の運行が終了した日と
同じダイヤ改正で誕生しました。つまり、特急「はくと」と特急
「いなば」は、同時に活躍したことがありません。
付け加えると、「いなば」の列車名については「因幡の白兎」も
意識してはいるものの、第一義的には旧国名である因幡が
その由来です。とは言え、「はくと」との共演が見られなかった
のはやはり残念。
こうした事をつらつらと考えている内に、我々は山陰本線で
島根県を出て隣の鳥取県へ。
そうです。特急「いなば」と特急「はくと」の神話、「因幡の白兎」の
舞台は、鳥取県の白兎海岸がその舞台となっているのでした。
ちなみに今回の研修旅行では、他にも出雲市内で回った
場所が幾つかあるのですが、その1つはブログの後半で
書きたいと思います。

白兎神社
「因幡の白兎」神話のあらすじについては、ここでは触れませんが、
内容の根底には勢力争いと権力の移譲が物語られています。
原文では「素菟」と表記される兎と、「和邇」と書かれたワニの
部分が、当世風に言えば陸上勢力と海上勢力の間で争いが起こり、
陸上勢力の兎は海上勢力であるワニに破れてしまったことを
示唆しているのだという風に考えられるようです。
更にこの神話が「古事記」と「先代旧事本紀」に収録されている事を
踏まえ、「素菟」(ウサギ)は宇佐氏を。「和邇」(ワニ)に至っては
そのまま古代大和朝廷の有力一族であった和邇氏のことだと
主張する意見も勢いを増しています。

白兎海岸 写真の淤岐之島にウサギが流れ着いたのだとも
日本の神話は教訓を与えるというよりも、何かしらの史実を
諷喩の形で残すことを目的としています。もし、「因幡の白兎」が
古代の有力氏族の抗争を伝えたものであれば、この綺麗な白兎
海岸を舞台に大きな権力争いが繰り広げられていたのかもしれません。

「はくと」のヘッドマークにかかれた兎は、海を跳ねて渡る
躍動感のある姿。「いなば」はガマの穂を抱いた白兎という
どちらも神話に因んだものとなっています。
そんなヘッドマークの愛らしい兎の姿からは、想像も
つかないような史実の話が垣間みえるのでした。
さて、今回のサンライズ乗車記で最後に登場するヘッド
マークは「くにびき」です。
国引き神話は「出雲国風土記」に記載されている話で、
八束水臣津野命が国土を広くするため、よその国(土地)を
大綱で引き寄せて今の島根半島を作ったという話です。
その場所が島根県の出雲市にある稲佐の浜で、出雲大社から
歩いて20分もしないくらいの距離にあります。
我々も鳥取県(因幡)の白兎海岸に行く前に、稲佐の浜へ
足を運んでいました。

稲佐の浜
列車の特急「くにびき」は、米子~益田を結ぶ特急として、
1988年から運転を開始。2001年にはキハ187系が投入され
「スーパーくにびき」となり、2003年には「スーパーまつかぜ」へと
愛称が変更され、特急「くにびき」は消滅しました。
「スーパーはくと」「スーパーいなば」、そして「スーパー
くにび」と、この年代はなにやらスーパーを冠することが時代の
ムーブだったようです。
先に国引き神話は「出雲国風土記」にのみ収められていると
書きましたが、この事実からも国引き神話の特徴を読み解くことが出来ます。
これまで取り上げてきた「やくも」「出雲」の由来や、「八岐大蛇」
「因幡の白兎」といった神話は歴史書である古事記に書き残されたものです。
詰まるところ古事記の神話には、諸々の権力争いや朝廷の権力の正当性を
主張する内容が含まれています。

それに対して「国引き」神話には、そういった勢力争いを匂わす意図は
読み取れません。どちらかといえば、どこまでが出雲の領土であったのかを
記録した土地台帳のような印象さえあります。
研究者のなかには地質学的な観点から、古代の出雲地方の土地の変化を
語っているのだという説もあるくらいです。
日本には多くの列車愛称が存在していますが、その多くは地名や鳥類、
また天体関連のものが占めます。
逆に神話をモチーフにしているものは、この山陰出雲の「やくも」
「くにびき」の他には、北海道の「カムイ」しかありません。

出雲の地でヘッドマークの図案の元となった絵柄の由来を学ぶという
ミッションは、ヘッドマークの絵柄を見ただけでは想像もつかないような
隠された史実のあったことを発見する旅となったのでした。
ちなみに、スタッフが帰路に利用したのはもちろん381系「やくも」です。
了
~メイクアップシール紹介~
ここからは、今回のサンライズ乗車記に登場した車両に
対応したメイクアップシールを一挙にご紹介します。

─TOMIXの16番ゲージ対応─
「JR 285系 サンライズエクスプレス 基本セット 4両」 13,200円
(品番:TM-TH013)
「JR 285系 サンライズエクスプレス 増結セット 3両」 10,340円
(品番:TM-TH014)
「JR 285系 サンライズエクスプレス カーテン・ブラインドセット」2,860円
(品番:TM-TH015)
(※上記販売価格は、2022年11月時点のものです)

「285系サンライズエクスプレス 7両セット」 5,060円
(品番:TM-KN007)
「381系 ゆったりやくも 6両セット」文字色3,520円
(品番:TM-KN093)
「381系 ゆったりやくも(ノーマル編成)7両セット」3,740円
(品番:TM-KN094)
(※上記販売価格は、2022年11月時点のものです)

「HOT7000系 スーパーはくと 6両セット」3,960円
(品番:TM-KN152)
「キハ181系 つばさ 12両セット」4,620円
(品番:TM-KN071)
「国鉄 381-100系 特急電車 9両セット」4,180円
(品番:TM-TN014)
(※上記販売価格は、2022年11月時点のものです)
category: (HO)サンライズエクスプレス
サンライズ乗車記4
前回の「サンライズ乗車記3」のあらすじ
サンライズの車内確認で夜を明かし、明朝、松江に到着。
車窓に宍道湖を眺めながら終点の出雲市駅へ。
そこから一畑電鉄こと“ばたでん”に乗り換えて、
大社前駅に降り立った製作室スタッフ。
出雲大社に向かうと思いきや、足を向けたのは…
こじんまりとした出雲大社前駅。
駅を出た人波は自ずと出雲大社の方へ向かって進んで
いきますが、男性スタッフは出雲大社とは反対の方へ
歩き出しました。
ちなみにこの出雲大社前駅は昭和5年に建てられたもので、
教会風の内装にステンドグラスが特徴的です。

向かって駅の右側にはタクシーが止まっていました
平成8年に国の文化財に指定されましたが、我々が行った
何年か後にリフォームされたようで、今では小綺麗な
駅舎に生まれ変わっていますが、ハッキリ言って当時は
それほど綺麗な建築物だという印象はありませんでした。
さて、出雲大社を背にスタッフが真っ直ぐに向かったのが、
堀川を越えた先にあるJRの大社駅でした。

一見、駅には思えない(?)和風建築で大正13年に建造
されました。この駅はJR大社線の廃線にともなって、
1990年に廃駅となってしまったものの、重要文化財として
駅舎が保存されています。

昭和の初期を感じさせるノスタルジックな構内
堂々とした構内と多くの改札口が当時の活況を雄弁に
物語っているかのようです。独特な形状の和風シャンデ
リアも独特な空気感を演出しています。
出雲大社の大祭が執り行われる時には皇室から勅使が
遣わされる事もあり、駅には専用の貴賓室が設けられて
いる事からも、大社駅が一般の駅とは一線を画した
豪壮な造りになったことを窺い知ることができます。
ホーム側には線路も一部残されており、当時の面影を
偲ぶことが出来ます。一時は東京から直通の急行列車
「出雲」が運行されていました。

また1980年代までは「大社」や「だいせん」といった
列車も活躍。現在は線路の一角にD51-774号機が
静態保存されています。
(※注:2022年現在、駅舎の保存修理工事中のため、
2025年まで見学は不可になっています)
当時の出雲大社の玄関口を堪能した後は、いよいよ
出雲の歴史&文化のレクチャーを受けることに。

御本殿前の拝殿、続いて日本最大級、全長約13メートルの
しめ縄で有名な神楽殿に手を合わせた後、女性スタッフは
スタスタと御本殿の裏手にある素鵞社へ。
出雲大社の御祭神は大国主神ですが、素鵞社では
大国主大神の親神である素戔嗚尊が祀られています。

本殿に比べ意外と質素な素鵞社
素戔嗚尊といえば八岐大蛇退治で有名ですが、この八岐
大蛇自体が何かの暗喩になっているそうです。
彼女の解説では諸説あるそうですが、有力なものとしては
1つ目、八岐大蛇は氾濫する川を表しており(先のブログで
登場した斐伊川だとも)、それを素戔嗚尊が灌漑事業で
改善したとする説。
2つ目にはまとまりのない製鉄関係を生業とする産鉄民を
従えたとするなどが有力だそうです。これは八岐大蛇を
退治した時に尻尾から天叢雲剣が出てきたというエピソード
からも推測される説です。
それほど神話に興味のなかった筆者にとって、八岐大蛇など
と言われても、ゴジラシリーズのキングギドラのような
怪獣としかイメージ出来なかったのですが…

そのような説明を受けながら、我々は素戔嗚尊ゆかりの神社、
「須佐神社」へ。
この地は八岐大蛇を退治した後、八岐大蛇の生贄となる
ところを救った櫛名田比売命と共に留まった土地で、
「素戔嗚尊」の別表記「須佐之男命」からも分かる通り、
自身の名前から「須佐」を取って付けた土地です。
この地で日本最初の和歌と言われる「八雲立つ 出雲八重垣~」の
歌を詠んだとされています。

「出雲」の語源については幾つかの説が唱えられているものの、
現在のところ明確な結論には至っていません。
しかし、“八雲立つ”は「出雲」に掛かる枕詞であり、
ヘッドマークでも「やくも」には八つの雲が描かれています。
ここで気になるのが、「八雲立つ」や「八岐大蛇」に出てくる
「八」という数です。
もしかしたら、もともと出雲地方では勢力争いを行っていた
八つの豪族のような集団があり、それを素戔嗚尊が統一した
ことで「出雲」の礎が出来たのでは?
そのように考察すると、「出雲」のヘッドマークが1つの大きな
雲の図柄になっているのは、偶然の一致にしては出来過ぎの
ような気がするのでした。
尚、古代日本で「八」という数字には、単純に数が多いという
意味合いでも使われていました。例えば「八百万の神々」などは
非常に数が多いといった具合いです。
そういった文脈でみると、素戔嗚尊は八つの勢力を平定した
というよりも、数多くの勢力をまとめ上げたと解釈した方が自然
かもしれません。
つづく
次回はいよいよ乗車記も最後です。
もうしばらく、お付き合いください。
category: (HO)サンライズエクスプレス
「サンライズ出雲」乗車記3
前回のブログの続きです。
サンライズ出雲は9時36分、定刻通り松江に到着。
1分停車の後、サンライズ出雲は再びゆっくりと走り出すと、
直ぐに右側の窓に宍道湖の姿が現れます。
シジミ漁の時期であれば宍道湖の湖面に幾艘もの小舟が
浮かんでいる景色を楽しめます。このシジミ漁は午前中だけ
見ることの出来る宍道湖の風物詩。
そして、宍道駅を過ぎれば、あとはいよいよ10分ほどで
終点の出雲市に到着となります。
斐伊川を挟んで反対側を走るのが一畑電鉄の北松江線です。
サンライズ出雲が斐伊川を超えると、一畑電鉄、通称
“ばたでん”と並走する形で出雲市駅へ向かいます。
車内では終点到着のアナウンスが流れるあたりから、
乙女たちのスーツケースを牽く音が通路で響き出し、
あたかも彼女達の恋愛成就の思いに車内が満ち溢れて
いるかのようです。
サンライズ出雲を降りて出雲市駅の改札を出ると、彼女たちの
流れは大きく2つに分かれます。
一方は出雲大社行きの出るバス停へ。もう一方の流れは、
“ばたでん”の改札口のある方へ向かって流れていきます。
我々も物産コーナーを通り抜け、彼女たちの流れに
乗って、“ばたでん”の改札に歩を進めます。
ここから男性スタッフによる、同行の女性スタッフへの
鉄道レクチャーも開始。

電鉄出雲市駅に待っていたのは、かつて京王電鉄で
活躍した黄色いボディが特徴的な2100系電車。
電車の発車を告げるベルの音もどこか懐かしく聞こえます。
程なくして川跡の駅に着くと、大社線への乗り換えのため、
今や首都圏などの都市部ではめっきり見かけなくなった
構内踏切を渡ります。
我々が訪れた何年か前まで、昭和の初期に誕生したデハニ50形が
現役で活躍していました。実際に乗車する機会に恵まれず残念。

尚、デハニ50形は引退後、2010年公開の中井貴一氏
主演の映画「RAILWAYS」で撮影に使用されたこともあり、
ちょうど世間の認知度も高まっていました。
現在は52号車は一般に公開展示され、一方の53号車は
なんと今も(※2022年時点)体験運転にて活躍中です。
このデハニ50形からも分かるように“ばたでん”の歴史は古く、
出雲今市から一畑薬師(一畑口駅)を結ぶ軽便鉄道が
開通したのは明治44年。
ちなみに一畑口駅は映画「RAILWAYS」の撮影舞台にも
なっていますが、鉄道ファンの間では平地であるにも
関わらず、スイッチバック運行するところに注目が
集まっている駅です。
さて、話を大社線へと戻します。
川跡駅から出雲大社前は4駅目。約8.3kmの単線区間を
ゆったりと進んでいきます。
出雲市駅から“ばたでん”に乗り換えて川跡まで行き、
さらに乗り換えて出雲大社前へ。
利便性という面でみればデメリットではあるものの、
サンライズ出雲を降りて直ぐ目の前が出雲大社である
というよりも、一畑電鉄を一旦介することで、参拝の
気持ちを整えることが出来るようにも感じます。
さぁ、いよいよ出雲大社前に到着。
神門通りを真っ直ぐ進んだ先が出雲大社です。
続きます。
category: (HO)サンライズエクスプレス
HOゲージ「サンライズエクスプレス」乗車記2
今回のブログは、前回の「サンライズエクスプレス」
乗車記の続きになります。未読の方は是非、前回の
ブログをご覧ください。
1回目のサンライズ乗車ではシングル個室とソロ個室に
乗車したスタッフですが、数日後、「シングルデラックス」と
「サンライズツイン」に乗車すべくチケットを購入。
この時、製作室の長老から山陰地方の主だった優等列車「出雲」
「やくも」「はくと」「いなば」「くにびき」のヘッドマークの
絵柄の由来を実地で学んでくるようにとのお達しが。
ちょうど今回、サンライズ乗車の同行をお願いした女性スタッフが
大学で民俗学を専攻していたこともあり、2回目のサンライズ乗車は
特別に2泊3日の「ヘッドマークのデザインにおける出雲の民俗学的
研修旅行」(?)と相成ったのでした。

さて、研修旅行の前に「サンライズツイン」と「シングルデラックス」
乗車時の感想を述べていきたいと思います。
個室の基本的な構成については前回乗車の「シングル」や
「ソロ」と同じですが、サンライズツインにおいても部屋の
ほとんどをベッドが占めており、やはり圧迫感はいかんとも
し難いものがあります。


左1階:サンライズツイン 右:シングルデラックス
ツインのベッドサイズは1,960mm×750mmとなっており、
一般的なB寝台のレギュラーサイズがベッド幅700mmである事を
考えると若干大き目ですが、逆に個室内視覚的に狭いという
印象を受けてしまうのかもしれません。
室内の設備に関しては、各ベッドの上に鏡と照明・空調などの
コントロール機器が設置されています。
次にデラックスについてですが、こちらはデラックスを謳って
いるだけあって、他の個室のような圧迫感はあまり感じません。

シングルデラックス
ベッドも1,960mm×850mmと余裕のある大きさで、大きな鏡と
ゴージャスな机と椅子にもちょっとした高級感が漂います。
デラックスは若い女性向けというよりは、ご年配のご夫婦に
良さそうだと思いました。ご夫婦での利用を考えた場合、
客室の構造などで難しい部分があるとは思いますが、
「ツインデラックス」個室の設定があっても需要はある
ような気がします。
ちなみにデラックス個室は部屋数が少ないこともあり、
チケットを取るのが難しいです。
シールの製作のため、写真の撮影に続いてDICカードを使い、
壁面や絨毯のカラーを確認していきます。


ノビノビ座席
また、最低限ながらプライバシーが確保できて、足を伸ばして
横になれるというので人気なのがノビノビ座席。
サンライズに乗車する事のメリットとして、プライバシーと
安全性の確保が挙げられますが、偶然にとなり合った乗客と
コミュニケーションの取れるノビノビ座席が設定されている事に
筆者は安心感を覚えます。
個室のシール化もなかなか大変ですが、特徴的な車内構造の
ノビノビ座席もシールの計測に思いのほか苦労しました。
尚、メイクアップシール別売のカーテン・ブランドシールを
お求めいただくと、備え付けの毛布や仕切りカーテンなどの
再現も可能となります。


自販機と洗面スペース
寝台や客室以外では、車端部分に設けられている飲料水自販機や
立体的な洗面スペースもシール再現可能になっています。
次回に続きます。
category: (HO)サンライズエクスプレス
HOゲージ「サンライズエクスプレス」乗車記1
メイクアップシールの製作では、可能な限りシール化する列車に
乗車をして車内の確認を行っています。
今回の富塚通信は、今や最後の寝台特急となってしまった
TOMIXのHOゲージ「サンライズエクスプレス」対応シールの
情報と一緒に、製作室スタッフのサンライズ乗車記をお届け
したいと思います。
尚、シールの詳しい情報については既にブログにてご紹介済みと
なっていますので、本日のブログではサンライズ乗車記の内容を
多めにお伝えします。製品の詳しい詳報につきましては、
ブログのカテゴリより各掲載記事をご覧ください。

東京駅の9番線。2021年のダイヤ改正で発車時刻の繰り上げが
あり、現在は21時50分発となった「サンライズ瀬戸・出雲」ですが、
我々が乗車した当時は22時丁度の出発でした。
東京駅の9・10番線ホームといえば、今も優等列車の発着する
ホームですが、かつては多くのブルトレが行き交っていた
時代がありました。
その名を挙げてみると、「さくら」「はやぶさ」「みずほ」に「富士」、
「出雲(1号~4号)」「あさかぜ(1号~4号)」
さらに、「瀬戸」「銀河」と、東京と西日本をつなぐ寝台列車の
まさしくターミナルでした。
これから乗車する「サンライズ瀬戸・出雲」は、東京駅を発着
したブルトレ時代からの「瀬戸」と「出雲」の系譜を引いている
わけですが、当時の目まぐるしいほどの活況を知っている身と
しては、今や最後の寝台となってしまった「サンライズ」しか
入線のない9・10番線ホームに一抹の寂しさが去来したのでした。

さて、サンライズの入線時刻は21時35分頃。ホームに
入線してから発車までのわずかな時間も、車内の確認や
撮影が出来る貴重な時間です。
気持ちとしては折角寝台に乗車できるのだから、ビールと
おつまみを買い込んで、車窓の景色を肴に一杯といきたい
ところでしたが男スタッフ2人、そこはグッと我慢して、
サンライズ入線時刻の20分くらい前から撮影機材を持って
待機していました。
ちなみに我々以外の乗客も入線時刻が近づくにしたがって、
ぞくぞくとホームに集まって来るわけですが、筆者を含め
我ら男性スタッフが場違いなのではと思える程、ホームには
若い女性の姿が多くありました。
我々がサンライズに乗車した頃、世間ではパワースポット
ブームが一般にも定着。乗車日が土曜日ということもあってか、
それこそ乗客は全員うら若き女性ではないのかと思えるほどで、
男性の姿は数えるほどでした。
出雲大社のご利益の大きさに感心する一方、まさに女性ばかりの
車内を男2人組がなにやらカメラを手に徘徊(?)していると、
これから良縁を願いに行く女性方を不安にさせてしまうのでは
ないかと些か不安な気持ちになったものです。
そうした不安を振り切って、いざ乗降ドアの開いたサンライズ
エクスプレスへ。
サンライズに乗車してまず最初に感じたのは、乗り込んだ時の
雰囲気が今までの寝台列車とは趣が明らかに異なっていた
という事です。
寝台車の場合、まず足を踏み入れるのがデッキになるわけですが、
これまでの寝台列車では目に触れることの出来た配電盤などの
スイッチ類は見当たらず、すっきりとした乗降デッキに。
メカニック的なものは姿を消し、これまでの寝台列車にあった
武骨さを微塵も感じさせない造りになっています。
ご存じの通りサンライズの車内空間は、住宅メーカーが施工に
加わっており、建物でいえば玄関部分に当たるデッキからして、
これまでの寝台列車とは異なる車内空間に迎えられたことに
ちょっとした驚きを覚えました。
ちなみに、この時はスタッフそれぞれシングルとソロに乗車。
デッキ、通路、そして個室とこれまでのブルトレや豪華寝台
列車とはまた異なったハイソな雰囲気に戸惑いがあったのも
事実です。


シングル個室
サンライズ編成の中で最も多く用意されているのがシングル
個室です。言うなれば、サンライズ寝台のスタンダードが
シングルになります。
シングルの個室内は寝台の他にテーブルがあり、ベッド横の
ちょっとしたスペースに縦長の鏡やオーディオの操作パネルが
コンパクトに配置。


ソロ個室
また、ソロは寝台ベッド以外の余分なものはすべてそぎ落と
した感じで、個室がそのままベッドだと言っても過言では
ありません。
ベッドのサイズは基本的な1,960mm×700mmとなってはいる
ものの、圧迫感はいかんともし難い印象を受けます。
小柄な女性ならそれほど気にはならないかもしれませんが、
寝返りの時や個室内で何か作業をするには少し窮屈です。
尚、HOゲージの模型でも個室や通路の狭さは見事に(?)
再現されており、模型の計測はかなり大変な作業となる
ことをこの時は知る由もありませんでした。


左:運転台 右:ミニラウンジ
シール化のために寝台個室以外の場所も確認します。
冒頭のデッキに限らず、トイレなどサニタリーもチェック。
もちろん運転席や乗務員スペースなどを拝見することは
出来ませんが、ミニラウンジなど列車の特徴的なスペースは
見落としの無いよう念入りに撮影を行います。
但し、こうした場所には当然、他の乗客の方がいらっしゃる
ことも。我々も他の乗客がいる場所で写真をパシャパシャ
撮ったり、ビデオを回すことはしません。
他の乗客のいない時を見計らいながら、車内の撮影に勤しむ
わけですが、結果として車窓の景色を楽しむこともなく、
夜の時間が過ぎてゆくのでした。
ちなみにこの時のサンライズ出雲の乗車で、次回シングル
デラックスなど他の室内を確認する為に再度サンライズに
乗車する際は、女性同伴の方が良いと悟り、後日、シングル
デラックスとサンライズツインのチケットを取った際は、
女性スタッフに同伴してもらうことにしました。
ということで次回、シングルデラックスとサンライズツイン
乗車記に続きます。
category: (HO)サンライズエクスプレス