151系「こだま」を支えた157系「ひびき」

-“こだま”する、その“ひびき”を届けるように-
157系「ひびき」は151系「こだま」を補完する特急として有名ですが、
そもそも「こだま」という列車名は、東京~大阪間を一日で往復できる
ことから、音が跳ね返ってくる“木霊”に由来しています。
そして、「ひびき」の方は「こだま」が響くという事で、音のつながりを
以って名付けられました。
「ひびき」は「こだま」のすぐ後を追うようにつかず、離れずして走る
列車として、実際「こだま」の出発50分後に「こだま」と同じダイヤで
運行され、まさしくダイヤ上でも「こだま」が走れば直ぐに響く列車でした。
さて、157系は日光線が電化されたのに合わせて、作られたデラックスな
列車ですが、中でも157系「ひびき」は、一見こだま風の外観と車内設備、
走行機器を持ち、優秀な設備から、特急「ひびき」として運用されました。
元々が準急の為、食堂車自体はなかったものの、その代わりに
ミニビュッフェのような売店コーナーが設けられていました。

上:151系 ビュッフェ 下:157系 売店コーナー


この売店コーナーは車販基地としての性格が強い為、流しがなく、
戸棚や陳列棚の他は電気冷蔵庫と電気コンロ、そして冷房化に際して、
冷水器が設けられました。
売店+軽食が食べられるところ、という意味ではミニビュッフェみたいな
もの、といってもいいのではないでしょうか。
ともあれ、157系「ひびき」はその愛称の示す通り、大人気列車「こだま」の
存在を、あたかも影のように寄り添いながら支える列車だったと言えるでしょう。

さて、そんな「157系ひびき」ですが、メイクアップシールラインナップでは
「157系 あまぎ」をご使用いただく事で「157系ひびき」も再現が可能と
なっています。
メーカープロトタイプは157系末期の「あまぎ号」ですが、基本的には
そのまま「ひびき号」として再現することが出来ます。
メイクアップシールでは、オプションの行先表示シールとして、「ひびき」用の
ヘッドマークシール及び、行先サボが付属しています(ブログトップの写真に
使用しているひびきのヘッドマークはオプションシールにて再現)。

「157系 あまぎ 基本7両セット 」 3,520円
品番:TM-KN080
(※上記販売価格は2021年7月時点のものです)
尚、「あまぎ号」を転用して「ひびき号」を再現する際に、最も大きなネックが
サロ150のグリーンマークです。

157系あまぎのサロにはグリーンマークが表記
時代的に「157系ひびき」の頃にグリーンマークはなく、代わりに1等車を
示す数字の1が表記されていました。

157系ひびきは数字による1等表記
今回、メイクアップシール「157系あまぎ基本7両セット」では、
よりリアルな「ひびき号」が再現できるよう、サロ150用の1等表記
シールを追加させる事となりました!


左:グリーンマーク 右:1等表記シールを使用
シールは数字の周りを赤11号で再現しており、車体のグリーン
マークの上にそのまま貼り付けてご使用ください。
尚、本1等表記シールは今月末の生産分からの付属となります。
メイクアップシール「157系あまぎ」で、「151系こだま」と一緒に
「157系ひびき」の同時再現も、ぜひお楽しみください。
「151系こだま・つばめ」メイクアップシールも好評発売中!

「151系 こだま・つばめ 基本8両セット 」 4,400円
品番:TM-KN148
「151系 こだま・つばめ 増結4両セット」 3,520円
品番:TM-KN149
(※上記販売価格は2021年7月時点のものです)
category: 157系
メイクアップシール発売情報~157系~詳報2
本日の富塚通信は前回の「157系」詳報1の続きです。
未読のお客様は少々長いですが、ぜひ先に詳報1をご覧ください。
さて、前回は157系導入の経緯を簡単にご紹介しましたが、
157系電車を語る上で欠かせないのが貴賓車クロ157-1です。
雑誌や書籍などで157系が特集されると必ずクローズアップ
されます。むしろ本車両の存在そのものが157系電車自体の
イメージを特別なものにしていると言っても過言ではありません。

貴賓車クロ157-1
クロ157は宮内庁からそれまでのお召列車とは異なる簡素な列車を
という要望に応える形で製造されました。
1960年(昭和35)1月に仕様がまとまり、半年後の6月に完成させる
というかなり厳しい製造日程となっていました。
そこで白羽の矢が立ったのが国鉄内部の製造部門ではなく、
優秀な設計スタッフが揃っており多くの車両製造の実績もある、
そして何よりも突貫工事が可能!?という3つの条件を満たした
川崎車両がクロ157の製造を請け負う事になりました。
筆者は突貫工事が可能というのが受注の決め手になったのでは
ないかと思いましたが、それでも完成はスケジュールより少し
遅れて翌7月となったのでした。

クロ157お召電車編成
宮内庁の要望では簡素にという事だったクロ157。それでも総工費は
クハ153の約2倍にもなりました。
しかし運転回数はトータルで400回以上を数え、主に関東周辺、東京
から箱根や日光への移動に活躍。

車両前面は編成上貫通扉を設け、鋼板は厚さ3.2mmの強化形を採用。
合わせて外板も通常の1.6mmではない2.3mmとなっています。
また、日光への運転を主眼に置き抑制ブレーキを搭載。台車も
TR59に対して横揺れ、蛇行動防止の為のダンパが追加されました。
側出入扉は珍しい4枚折戸ですが、開戸用戸閉機はTK-7形です。
ちなみに形式記号は「クロ」ではなく当初は「クイ」が予定されて
いたようです。
これだけでもクロ157の運転性能、安全性能が飛び抜けて高い事が
分かりますが、当然車内も当時最高峰のデザインにより設えられた
ことが窺い知れます。


中央室の中央に楕円の卓子。その周りに大回転式腰掛があり、
山側には安楽椅子が設置されています。
飾り棚や卓子、内帯には高級チーク材が用いられ、室内の照明には
なんと20W蛍光灯48本が使用されました。
壁面には純毛の厚手網代折が張られ前位側の壁には京都の石庭を
イメージしたレリーフが飾られました。
これら内装には大阪高島屋の設計部が協力しています。
窓ガラスは中央のみ電動開閉式となっており、ガラス自体は厚さ
6mmの強化ガラスと厚さ6.3mmの安全ガラスによる複層ガラスを使用。
これはセキュリティー面を考慮した措置ですね。
ちなみにメイクアップシールでもしっかりと中央室の前面壁面に
石庭レリーフを表現してあるのですが、157系のシール製作を
担当していないスタッフが石庭のデザインされたシールを見て、
「壁に黒い模様が印刷されているけどミスしていないか」と慌てて
認をしてきました。
「いやあれは石庭だよ」と説明を聞かされていましたが、文字を
見ないで石庭と言われても始めはピンときていないようでした。
確かに壁面に石庭を表現するというのは中々斬新なアイデアで
ある思います。


左:中央室 右:後控室
後控室はひじ掛け付き腰掛が6脚、小卓4個が配置されています。
小卓は一か所にまとめて会議用にも利用されました。
絨毯は前控室とは違うものが採用され、設備としては電気時計や
ラジオ、前控室とのインターホン等がありました。
また、準備室には冷蔵庫、流し台、冷水器といった簡易的な厨房
設備が整っており、荷物保管室は3段戸棚が設けられていました。

前控室は灰藤色の絨毯が敷かれ戸棚はガラス製。
窓ガラスは磨きガラスによる複層ガラス構造となっていました。
尚、前控室は残念ながら模型成型されていません。


中央室 石庭を模したレリーフも見えます


後控室
さて、メイクアップシール「157系お召電車」は5両セットと
なっており、クロ157-1以外の4両、クモハ157×2両、モハ156、
そしてモハ156(モータ―車)は、前回157系の詳報にてご紹介
しました車両と同じシールデザインとなっています。

手前からクロ157-1、クモハ157、モハ156、モハ156(M車)
尚、157系は「157系あまぎ基本セット7両」と「157系お召電車
5両」を組み合わせて、157系「ひびき」等の編成を再現する事が
出来ます。
そこでメイクアップシールでは「157系あまぎ基本セット」の
パッケージに以下のヘッドマークを付属しました。
また、ヘッドマーク以外にも行先表示や号車番号も含まれています。

ヘッドマーク・行先表示 データ画像

ヘッドマークひびき
シールはプラバンに貼って切り出し、プラバンにマグネットシールを
貼り付けてあります(※メイクアップシールにはヘッドマーク用プラバンと
マグネットシールは付属していません)。
ヘッドマークシールを使って適宜加工を行って下さい。
「ひびき」について
157系は始め「日光」「中禅寺」「なすの」が設定されました。
同年「中禅寺」「なすの」の冬期運休を利用して東京-大阪間
「ひびき」が臨時特急として運行。
尚、「ひびき」はそのまま2往復が不定期特急となり、更に1往復は
定期運用が決定しました。しかし1964年の東海道新幹線開業に
より廃止となりました。
運行区間の関係から最も多くの人の目に留まった列車かも知れません。
「そよかぜ」について
1968年(昭和41)の行楽期、東京-中軽井沢間を臨時特急「そよかぜ」が
運行しました。EF63のサポートを受け157系7連であの碓氷峠を越えたの
でした。「そよかぜ」自体は人気がありその後も運行されましたが、
157系「そよかぜ」はこの年のみの運行となってしまいました。
ちなみに前回同様、星晃氏の述懐によれば、冷房のついていなかった
157系は窓ガラスが開けられるようになっていたので、「そよかぜ」
走行時に乗客が窓を開けていたところ、風が凄すぎてカーテンが激しく
跳躍してしまいとても外の景色を楽しむどころではなかったと
反省されていました。
これまでのボディの車両越しに室内をみた写真にもカーテンが写って
いますが、メイクアップシールにはヘッドマークだけではなくカーテン
及びクロ157中央室のブラインドもシール化してあります。
ちなみにカーテンが風に煽られる問題は、翌年カーテン下に留め金を
つけて固定する事で無事解決したとの事でした。
さて、前回、そして今回と2回に分けてご紹介してきました
メイクアップシール「157系あまぎ」「157系お召電車」
それぞれKATOの下記模型に対応したパッケージとなっています。
・品番10-393:157系「あまぎ」 7両基本セット
・品番10-456:157系 お召電車 5両セット
※品番10-394:157系「あまぎ」 2両増結セットに関しては
「157系あまぎ基本7両パッケージ」の予備シールを利用いただく
ことでシール化が可能となっています。

メイクアップシール「157系あまぎ」「157系お召電車」は
本日より発売開始!販売価格は下記の通りです。
「157系 あまぎ 基本7両セット」3,200円(税別)
「157系 お召電車 5両セット」3,200円(税別)
(※販売価格は2017年7月時点のものです)
前回、そして今回と157系のエピソードを振り返ってみると、
訪日外国人観光客を観光地へ輸送する為のデラックスな車両なのに
冷房機が導入されなかったり、目的地が東京の近場であったりと
現在の国内の観光及び交通機関の充実ぶりからしてみると、まさに
前時代の様な様相を呈しています。
しかし157系の運用開始年は1959年です。そうしてみると今から
約60年前の日本の観光輸送の姿を良く表している様な気さえして
きます。
また、貴賓車クロ157も皇室列車の在り方の大きな転換点となった
のは間違いありません。そんな157系はクロ157を合わせ32両の
製造でした。そして1976年(昭和51)には貴賓車関連の車両を除き
全車両が現役から引退しています。
製造車両数は少数派ながら多くのファンの心に残った157系の
室内内装をメイクアップシールで、ぜひお楽しみください。
~157系「あまぎ」模型販売のお知らせ!~
今回メイクアップシール化した157系「あまぎ」の模型も販売しています。
・品番10-393「157系 あまぎ 基本 7両セット」¥14,040(税別)
もしくは、お求めやすく基本・増結を揃えたセット販売
・品番10-393「157系 あまぎ 基本 7両セット」
&品番10‐394「157系 あまぎ 増結 2両セット」¥19,700(税別)
(※販売価格は2017年7月時点のものです)
どちらかにてご購入頂けます。尚、増結セット2両は在庫僅少となって
おりますので、完売の場合はご容赦ください。
157系「あまぎ」模型も是非メイクアップシールと合わせてお求め下さい。
category: 157系
メイクアップシール情報~157系~詳報1
本日の富塚通信は発売間近!メイクアップシール新製品
「157系あまぎ」「157系お召電車」の詳報をお届けします。
157系は1959年(昭和34)年に日光宇都宮-日光間電化に合わせ
設計・製造された特別準急電車です。
当時、戦後復興から立ち直った日本へ訪れる外国人観光客の
多くは、東京から比較的近い日光や箱根観光に足を延ばして
いました。特に日光国立公園は国際的にも知名度が高かった
そうです。
その為、国鉄は日光への観光輸送の充実に迫られており、
その結果誕生したのが日光形電車として親しまれた157系です。

旅客輸送増強を目的に運用された157系
尚、日光へは東武特急も乗り入れており、国鉄と熾烈な競争を
繰り広げていました。また、先述の通り外国の方が乗車する事も
多かったことから、国外へのアピールも兼ねて特急と同等の
デラックスな設備を持つ列車として設計されたというのは、
157系を知る上で特筆すべき事でしょう。
そんな日光への観光列車として運行を開始した157系ですが、
その後、特急「あまぎ」や「白根」として引退まで活躍する
事となりました。
今回メイクアップシール化を行った「157系」は昭和40年代の
「あまぎ」「白根」がプロトタイプとなっています。
ここからは各車両のシール詳細をお伝えしていきます。
◎クモハ157◎
クモハ157の先頭部分はパラノミックウィンドウを採用した2枚窓で
大きな前照灯も特徴的です。このデザインは80系やEF58の流れを
汲んでおり、その後主流となる事はありませんでしたが、多くの
ファンに親しまれたフォルムです。

クモハ157


室内の座席は2人掛の回転シートでモケットは紺色、
それまでのT13形の改良系であるT17形座席です。


◎モハ156◎
パンタグラフPS16を搭載した電動車。定員は60名。車端に車販基地
として売店があるのが特徴。座席はクモハ157と共通です。


モハ156


後位側には売店スペースが設けられていました。ショーケース、
冷蔵庫、電気コンロを設置し、反対側には立食用の小カウンターがあり、
後に冷水器も導入されました。
東京から日光間の距離に食堂は不必要ですが、こうした車販ブースが
あれば確かに便利ですね。


売店スペース
模型の成形では売店のショーケースのみ再現されていますが、
メイクアップシールではオプションのプラバン加工でより
リアルなショーケースに冷蔵庫、電気コンロ、カウンター、
そして冷水器と完璧な売店スペースを再現頂く事が出来ます。




窓ガラス越しにショーケースやカウンター、冷水器などが視認可能
ちなみに小カウンターは車両の窓ガラスの位置を考慮して設計。
売店スペースにある窓からも各種設備がしっかりと見えます。
◎サハ157◎
前後に出入台、後位側に洗面所とトイレを持つ付随車で、定員は
モハ156より少し多く68人。言うなれば車内は売店の無いモハです。

サハ157
◎モハ156◎

モハ156(モーター車)
モーター車のモハ156。床と座面一体型のシールとなっています。
座席の背ずり部分は成形的に貼り付け箇所が小さくなってしまう
ためにシール化していません。
尚、ここまで紹介してきた普通車座席、またこの後紹介する
サロ座席でも、157系登場時(昭和30年代)の座席ヘッドカバーと
昭和40年代以降では、ヘッドカバーの形状が異なります。

座席ヘッドカバーの違い(シール印刷データ)
今回は「あまぎ」がプロトタイプですので、上記画像の新仕様の
座席デザインがベースとなるのですが、準急時代の初期形ヘッド
カバーの座席もシール化しました。
「あまぎ」や「しらね」以外の編成再現にご利用頂けます。
◎サロ157◎
前位側に洋式のトイレと洗面所が設けられていますが、運用編成の
短さから車掌室はありません。定員は52名と普通車よりも少なくなって
います。


サロ157
座席はリクライニングシートとなっており、エンジモケットのR18形です。
このタイプは151系車両のR18形からシートラジオを撤去し、更には
生地や蹴込板を変更したものです。






客室後部には仕切りがあり、外国人観光客のスーツケースやゴルフ客の
ゴルフバック等が置ける大型の荷物置き場となっています。
ここまで157系「あまぎ」各車両の詳報をお届けしました。

手前からクモハ157、サロ157、モハ156、サハ157、モハ156(M車)
最後に余談を少し。157系は冒頭でもご紹介しましたように日光への
運用を目的とした列車という事で、日光線の勾配対応に勾配抑速発電
制動を初採用した車両です。また、編成もクハを含めない電動比率の
高い4M2Tの6連を基本としていました。
そして運用面の技術は元より、国際アピールを兼ねて特急並の
デラックスさを追求した電車でもあったはずの157系なのですが、
驚くべきことに製造当初は冷房装置を完備していませんでした。
但し、後に冷房装置を導入する事を前提として準備の為の施工は
行ったそうです。
この事を鉄道車両技術者であった星晃氏は著書の中で、そもそも電車への
冷房装置は特急「こだま」に導入したばかりで夏場の運用経験も一切ない
状態であった。また、157系は「準急」扱いであったので、当時としては
「特急」とも差別化を図る必要があったと述べています。
157系の製造は1959年。まだ東京オリンピック1964も開催されていません。
現在では冷房装置なんてどんな車両についていても当たり前だと思って
しまいますが、当時の感覚としては冷房装置そのものが非常に高価であり、
特急だからこそのデラックスな設備なのでした。
さて、今回は157系「あまぎ」各車両の詳報をお伝えしました。
次回は「157系あまぎ」と同時発売のメイクアップシール「157系お召電車」、
その中でも貴賓車クロ157-1の詳報をご紹介していきます。
また、157系車両が活躍した「ひびき」「こだま」「そよかぜ」「とき」
「いず」等の優等列車のヘッドマークシールも付属。
シールの発売情報と合わせてこうした情報もお届けしますので、
どうぞお楽しみに!
category: 157系
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