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室内灯クリア~色温度から見たナチュラルな室内再現~ 

当店オリジナル「メイクアップシール」は、もちろんそのままご使用頂くだけで
模型室内のメイクアップを十分お楽しみいただけますが、メーカーから発売されて
いる別売りの室内灯セットを導入して頂ければ、さらに臨場感あふれる室内再現が
可能になるようデザインを行っています。

さて、これまで富塚通信内でも度々触れてきましたが、昨年KATOから発売された
「LED室内灯クリア」
これが明るくて確かにクリアではあるのだけれども、どうにも青っぽいという現象に
対して今回製作室のスタッフは、色温度と露出値という観点から実際にどうなのか
上記の疑問に答えるべくある調査を敢行しました。


まず確認のために「白色室内灯」と「LED室内灯クリア」をそれぞれセットした
車両(オハネフ25)を撮影してみたところ、明らかに「LED室内灯クリア」の方が
青味がかっていることが判明。

2012-07-28-n01.jpg2012-07-28-n02.jpg
左:旧・白色室内灯拡大画像 右:新・室内灯クリア拡大画像


今回の実験ではこの視覚の違いを、色温度計と露出計を使って計測してみました。
その結果が下記の表です。

2012-07-28-n03.jpg


~計測方法及び説明~
─────────────────────────────────────────

1:「白色室内灯」と「LED室内灯クリア」の色温度と露出値をそれぞれ5回計測して、
その平均値を出しました。上の段が「白色室内灯」で、下の段が「LED室内灯クリア」です。

2:「白色室内灯」「LED室内灯クリア」ともに、付属の調整フィルターを使用した場合と、
使用しなかった場合の2パターンを計測しました。

3:「色温度」とは、光源が発している色味。単位はk(ケルビン)。一般に寒色系の
色ほど色温度が高く、暖色系の色ほど色温度が低い。今回使用した計器では、5500Kが
昼白色(色味に偏りがない状態)となっています。

4:「輝度」とは、光源の明るさ。今回は写真撮影用の露出計を使用しているので、
EVという単位で表している。数値が大きいほど光源が明るくなります。

5:パワーパックはKATO製のものを使用。電圧は10Vで統一してあります。

6:室内は外部の光が入らないよう遮光し、室内灯以外の光源はない環境です。

────────────────────────────────────────


上記の測定結果から、

◎「LED室内灯クリア」は「白色室内灯」よりも、1000k程高い=青みがかっている!

◎「LED室内灯クリア」は「白色室内灯」よりも、2EV程高い=光が明るい!
 


という、2点がはっきりしました。またこの傾向は、調整フィルターを取り付けても
同じだということも分かります。

尚、1000kの違いを例えるならば、明るい曇りの日と雨の日の日中の青みの違いくらい。
2EVは、外の日なたと日陰くらいの違いになります。(下記の写真を参考)

2012-07-28-n04.jpg
2012-07-28-n05.jpg2012-07-28-n06.jpg
左:日なたでの数値15.8EV 右:日陰での数値13.9EV  

また、数値上証明することはできませんが、色温度の計測中「白色室内灯」は、
かなりの頻度で計測エラーになりました。あくまで推測の域を出ませんが、
「白色室内灯」は光の安定性が多少不安定なのかもしれません。


下記の写真は、今回の実験に際して各計測パターンの状態の車両をボディを外した状態と
ボディを付けた状態で撮影したものです。

2012-07-28-n07.jpg
2012-07-28-n08.jpg
「白色室内灯」調整フィルターなし

2012-07-28-n09.jpg
2012-07-28-n10.jpg
「白色室内灯」調整フィルターあり

2012-07-28-n11.jpg
2012-07-28-n12.jpg
「LED室内灯クリア」調整フィルターなし

2012-07-28-n13.jpg
2012-07-28-n14.jpg
「LED室内灯クリア」調整フィルターあり

写真は、撮影条件をすべて統一させカメラの設定を一切変えずに行っています。
また、画像ソフト上での調整も一切行っていない為、色とびがあり、ホワイト
バランスも統一されていません。
逆にいえばこれだけ「白色室内灯」と「LED室内灯クリア」、調整フィルターを
使用する、しないでは違いが生じるということがお分かり頂けると思います。



さて「LED室内灯クリア」では、露出値が向上してより明るくなったことは大いに
歓迎すべきことではありますが、色温度が高めになっているために青味が強くなって
いる点はよりリアルな実車再現という点ではデメリットです。

そこで、今回はこの色温度対策として2012/05/30の富塚通信にて取り上げた写真
撮影用の色温度変換フィルターを使用し、色温度の調整にチャレンジしてみました。

2012-07-28-n15.jpg
今回は数あるLBAフィルターの内から号数8番を使用


計測方法は「LED室内灯クリア」の光源前に、8番フィルタを貼り付けた状態にて
行いました。その他の計測方法は先の~計測方法及び説明~と同じです。

結果は以下の表の通り。

2012-07-28-n16.jpg

はじめLBAフィルター8番を1枚貼り付けて測定したところ、数値が6000kオーバー。
当然、室内灯セット付属の調整フィルターは使用していませんが、これでは「LED室
内灯クリア」に調整フィルターを付けた状態よりも青味が強い事になってしまいます。
あわててLBAフィルター8番を2枚重ねにして再計測を敢行。
すると、数値は4490kと従来の「白色室内灯」に調整フィルターを使用した時と
同じ色味の光を再現することができました。

しかも、輝度は「LED室内灯クリア」の8EVを維持。つまり、この方法をとれば
従来の「白色室内灯」を使った時の白熱灯車内再現に近い色味でありながら、
「LED室内灯クリア」使用時の明るさで室内を照明する事が可能になるのです。
さらに「LED室内灯クリア」をダイレクトに使用した時に発生する、不自然な
テカリ(反射)を自然な形で低減。これによりシールのデザイン細部の視認性が
高まります。

また、色温度変換フィルターを使う利点としては、メーカーから強さの違う
フィルターが数多く販売されているので、複数枚のフィルターを併用して使う
ことによって、ほぼ完璧な色温度のコントロールが可能になるという点が
あります。

もちろん、室内灯セットの調整フィルターに貼り付けることも出来るので、
メーカーの白熱灯再現よりも、より赤みの強い室内再現にも十分対応できます。
これは旧型客車、例えば戦前型のオハ35等、当時の白熱灯を使用していた
客車群のリアルな室内再現にうってつけではないでしょうか。


2012-07-28-n02.jpg2012-07-28-n17.jpg
左:新・室内灯クリア通常タイプ 右:室内灯クリアにLBAフィルターを使用
LBAフィルターを使えば、「LED室内灯クリア」の明るさをそのままにより自然な
室内の照明効果が得られます。



さて、今回は前々から青味が強いともっぱらの噂だった「LED室内灯クリア」を
色温度の数値から実際にどうなのか確認実験を行ってみました。
今後、輝度の明るさや光のちらつきの少なさなどから「白色室内灯」よりも
「LED室内灯クリア」が室内照明の主流になってくると思います。
そんな時、より実車に近い自然な室内再現のテクニックとして、こうした色温度変換
フィルターをお使い頂ければ、メイクアップシールの室内再現がその照明効果と
相まって、より鮮明且つナチュラルなものとしてお楽しみいただけます。

最後にトワイライトエクスプレスに「LED室内灯クリア」を取り付け、上記の色温度
変換フィルターの内「LBAフィルター2番」を付けて色温度を微調整した室内写真を
お届けします。室内灯の色温度のこだわりは、先のブルトレB寝台や旧型客車だけでは
なく、トワイライトやカシオペアなどの豪華寝台だからこそ活きてくる側面もあります。


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夏休みの工作の宿題は子供だけのものではありません。今年の夏は色温度に
こだわった大人の工作にチャレンジしてみるのも一興かもしれません。

メイクアップシールのお求めと合わせて室内灯セットもどうぞ!
ホームページ>>

※今回使用した色温度変換フィルターは、写真専門店などでお求めください。 

 

category: 工作

Posted on 2012/07/28 Sat.   edit  |  tb: 0   cm: 0