動画撮影~ライティングについて~
今回は当制作室でのビデオ撮影としての最終章
「ライティング」についてを中心に紹介します。
基本的に撮影時には多灯ライティングによる撮影が必要となります。
これはフロントからのライティング一灯では影が出来てしまうために、
その影を程よく薄くするためのフロントとは別にもう一灯必要となります。
また、全体的な立体感を出す為に、真上からの照明も必要になります。

現在市販されているライトのそのほとんどがLED式なのですが、
ビデオカメラに直接装着するクリップオン式のものよりもジオラマを
広範囲で照らし出すためにはスタンド式照明灯の方が良いでしょう。

上記の写真は、オーム電機で発売している「LEDズームライト」という
懐中電灯で、発光部の先端を回すことによって光の当たる範囲を
調整出来る為、スポット光として使用しています。
但し、やや赤みが強い発色なのでソフト上での調整が必要になります。
次にライティングを施した時に、問題になりやすいのがジオラマ上の
家屋や街灯の明るさです。
そこで、これらのジオラマ上の灯りの強さを調整する為の
照明ボリュームボックスを設けてあります。

但し通常はローアングルなどの撮影時に、照明ボリュームボックスが映り
込まないように緑色に着色したカバーで覆いを取り付け、マグネットを使い
着脱可能にしています。

最後にカメラ周りのちょっとした便利グッズを紹介しましょう。

上の写真は「フォローフォーカス」というピント合わせのアクセサリーです。
走行時の車両の撮影時はそのほとんどがマニュアルフォーカスになります。
これはオートフォーカスで撮影すると架線柱を車両がくぐり抜ける際に、
架線柱側にピントが移動し易いからです。
そこでオートフォーカスをマニュアルフォーカスに切り替え、フォーカスリングで
ピント移動をさせていくのですが、トルクの重さからスムーズなフォーカス移動が
難しくなることが多々あります。
そんな時、効力を発揮するのが「フォローフォーカス」。
実際の使用感は効果絶大でした。
正直なところ、あまり期待はしていなかったのですが、取っ手のサイズも
長すぎて他の機材に干渉することも、短すぎて握りずらいという事もなく、
長すぎず短すぎず絶妙な長さで、調整ベルトもビデオカメラや一眼レフの
フォーカスリングにフィットしてなかなか良い感じでした。
なによりリングを回す際の労力が段違いと感じました。
次に紹介するのが、「ブラックミストフィルター」です。

今回、初めにライティングについて紹介しましたが、鉄道模型の場合、
列車を走行させるシーンもある為、場合によっては照明光が強く
当たりすぎてしまうケースも。すると映像にエッジが立ち過ぎて
しまうのですが、この時便利なのがこのブラックミストフィルターです。
エッジを抑えるソフト効果を持つフィルターを使う場合、どうしても
エッジがボケ過ぎてしまい、画像全体に締まりが無くなってしまいがちです。
その点、ブラックミストはハイライト部分とシャドーの部分の明暗さを
バランス良く和らげてくれるので、使用頻度の高いフィルターとなっています。
下記の写真はEF60とEF58を、フィルターなしとブラックミストフィルターを
使って取り比べた画像です。

通常時

ブラックミスト使用
ブラックミストフィルターを使うと、特に車体のエッジがバックの背景と
馴染んでいることがお判り頂けると思います。

左:ブラックミストなし 右:ブラックミストあり
部分的に拡大してみました。
ブラックミストフィルターとはいえ、ソフト効果がある為画像のシャープさは
弱まってしまいますが、それでも他のソフト効果のあるフィルターに比べ、
格段に使い勝手がいいフィルターであることは間違いありません。
また、こうした部分もライティング如何によっては、より雰囲気のある
映像に仕上げることも可能です。このフィルターは基本的に写真用の
フィルターですが、そうした点から、テレビ局でも動画撮影時に
対応するフィルターだという話も聞きます。
さて、今回ライティングを軸にビデオ撮影の機材などを紹介してきましたが、
光の当て方や、ライトの光の色を色付きカバーなどで変更することで
昼の走行シーンから夕景、夜景走行シーンまで印象的に撮影することが出来ます。
現在各社からジオラマ用の素材が多数発売され、近代都市から農村、
また山間部や川、トンネル、橋梁など様々な風景を再現することが出来ます。
ぜひ自分の再現したいシーンにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
そして一眼レフを含む撮影機器が溢れている昨今、作ったジオラマで
撮影してみませんか。
今までの動画撮影のブログがジオラマレイアウトを楽しむ皆様の
参考になることを祈っています。
category: ジオラマ撮影