富塚商会2021年3月用カレンダー
本日、当店公式サイトにて2021年3月用の
月カレンダーを公開しました。
今回のカレンダー写真は先日発売を開始したメイクアップ
シール、スハ44系「特急はと」と「特急つばめ」のすれ違い
シーンです。3月という事でジオラマで桜並木を製作して
撮影に臨みました。

カレンダーはA4サイズのpdf形式となっています。
下記のリンクからダウンロードしてご利用ください。
富塚商会2021年3月カレンダー>>
メイクアップシール製作に於いては、当時の車内が分かる
配置図や写真画像の収集はとても重要になりますが、
もう一つ重要なファクターとなるのが、その列車が走っていた
時代の肌触りや時代の香りといった感覚的要素が大切と
なってきます。
感覚的要素と一言でいっても、この感覚は中々掴み難いもので、
どういった列車で車両だったのかをまずイメージできなければ、
完成図を描くことが出来ません。
時代の肌触りや香りといった感覚面は、特に今回のように「はと」や
「つばめ」といった古い車両の場合、製作室の若い世代のスタッフに
とっては、自身が生まれていない時代のため感覚的に掴むのが
ますます困難になります。
そこで今回は1972年にテレビ放送された「大いなる旅路」を
時代考証の参考として視聴しました。
このドラマは、明治時代の鉄道建設から1972年時に至るまでの
鉄道に関わる人々のドラマを描いたオムニバス作品ですが、
今回は「はと」と「つばめ」に関わる『お星様白書』を参考に
しています。
『お星様白書』の舞台は1950年(昭和25)。
東海道本線を走っていた栄光の特急「はと」及び「つばめ」を軸に、
人々から注目を集めた「はとガール」添乗員を主軸にしたストーリーと
なっています。
ドラマでは、毎日線路際の病院の側を走る特急はとに向かって手を
振る患者や職員達と、それに手を振り返すはとガール達との間で
育まれていく線路の友情や信頼がテーマに据えられています。
実はこの話には題材となる実話があり、昭和天皇が行幸の際に、
ここを通るとき歌を詠まれたことで、美談として取り上げられ、
1955年には小学校の教科書にまで載ることとなりました。
尚、この交流は1960年の「はと」廃止まで続いたそうです。
昨今でも、受験に遅れそうになった受験生のために、通過駅に
新幹線を緊急停車させるなどの計らいがニュースになる事が
ありますが、ただ目的地まで運ぶというのではなく、人と人との
触れ合いという大切さを忘れないその気持ちが、今もって受け
継がれているような気がします。
メイクアップシール製作時も、モケットの色や車内設備、
壁面の内装などだけではなく、その列車が走っていた当時の
時代背景とや肌触りなどを重要視するのも、こういった目に
見えない部分こそが鉄道文化というものを支えてきたからに
他なりません。
ちなみにDVD映像作品集『鉄路の記憶』も、鉄道車両という
だけでなく、時代背景や人々の営みの中で存在した鉄道と
いうものとフィードバックさせてそういった部分を意識して
作っています。
今回のカレンダー写真では出会いと別れの季節に花開く
桜並木を走る「特急はと」と「特急つばめ」に、かつて
乗客だけではなく、路線の側で暮らす人との触れ合いまでもを
大切にしたガール達の気持ちを改めて思いながらの撮影と
なったのでした。
category: 富塚オリジナル