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こだま型もいよいよ電気釜の時代へ 

─ボンネット型の終焉、そして電気釜の誕生─

こだま型ボンネットスタイルが全盛を極めてから10年余り。
ついに一世を風靡した“こだま型”特急電車の象徴だった
ボンネット形状が変更される事になります。
その先駆けが1972年(昭和47年)7月に登場した183系でした。

この年、総武本線をはじめ現在の外房線、内房線などの路線が
電化され、急行列車の一部が特急に格上げされました。
そこで「わかしお」「しおさい」用に誕生した車両が183系です。

この183系の先頭車両は、それまでの特急電車の代名詞だった
ボンネット型ではなく、貫通扉を配した平面スタイルへと
変貌を遂げていました。
その先頭形状が当時の電気釜(炊飯器)に似ていた事から、
いつの間にかこのスタイルの電車を電気釜と呼ぶようになります。

─485系も電気釜へと変化─

1968年(昭和43年)デビューの485系電車については、人々の熱い
要望から151系電車のデザインを引き継ぎ、ボンネットスタイルで
誕生した事は、前々回のブログで述べた通りです。

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手前:電気釜485系 奥:ボンネット151系

しかし、183系の投入された1972年(昭和47年)から翌73年までに
製造された485系は、183系と同じく貫通扉を設けた電気釜スタイルの
車体へと大きく姿を変えたデザインで製造される事になります。

そもそも183系はこの電気釜スタイルの485系が設計のベースと
なっています。つまり国鉄では、1968年から1972年の間に人気の
ボンネット型から電器釜スタイルへと車体デザインの大幅変更を
推し進めた事になります。

さて、それではこの貫通扉の付いた電気釜車両は一体いつ、
どこで誕生したものなのでしょうか?

─目的の違った183系と485系の貫通扉─

国鉄の特急形電車として初めて前面に貫通扉が設置されたのは、
1967年(昭和42年)に登場した581系です。ボンネット型の485系が
投入される1年前の事でした。

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国鉄特急電車初の貫通形581系

当時、前面貫通扉、もとい前面貫通形の車体を採用した理由、
それは多層建ての列車運用を想定していたからに他なりません。
都市部の幹線から各地の支線が電化によって結ばれた国鉄に
とって、次の課題は効率的な列車運用を行うことです。
その布石として分割・併合運転が行えるよう前面貫通形の
特急電車が必要となったのでした。

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左:485系200番台 右:581系

さて、特急電車の標準化という視点に立脚してみると分割・併合
運転のために485系、続く183系が電気釜になった事は十分に
理解できます。

しかし、183系の貫通扉設置は分割・併合運転の為だと云う
以前に、絶対に設置しなければならない理由がありました。
それが地下区間走行のための安全対策です。東京で地下駅に
乗り入れる為には火災対策としてA-A基準を満たしていなければ
なりません。つまり183系は、走行路線の条件として貫通形の
車両でなければならなかったわけです。

このように厳密にみてみると、485系と183系では貫通扉設置の
最も大きな理由は異なるようですが、分割・併合運転と安全対策と
いう目的はすべての特急に必須の要素であったことに違いは
ありません。

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トピックス1~閉ざされた扉~

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左:485系200番台 右:485系300番台

1974年(昭和49年)から製造された先頭車からは貫通扉が
撤去された。模型でもきちんと前面の扉が無くなっている。

理由は扉からすきま風、降雪地帯では粉雪が舞い込むこと、
そうした部分の腐食が早いなどのトラブルが浮上した事に因る。
また、乗務員スペースが狭いという問題点が指摘された。

更には予想していた分割・併合運転も行われる予定がなかった
ことから、485系では300番台グループとして貫通扉を廃止した
車両を製造する事に。

ちなみに485系の併結運転が初めて行われたのは1976年
(昭和51年)、長崎・佐世保線の「かもめ」と「みどり」であった。
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─時代は変わり、技術も変わる─

ボンネット型の151系こだまの登場が1958年(昭和33年)、
そして、電器釜へと変化した183系の投入が1972年(昭和47年)
でしたので、単純に計算してみると、ボンネット型特急電車の
製造期間はおよそ14年間だった事が分かります。

1968年(昭和43年)時点では、“こだま型”の特急でなければ
受け入れられないとまで言われていたはずが、4年後の1972年
登場の電気釜スタイルの特急電車には、それほど反対意見が
出される事はなかったようです。

勿論、151系電車はじめ、ボンネット型の485系が既に各地で
走行していたこと。また、ボンネット型の特急電車も直ぐに
姿を消すというわけでもないので、人々の“こだま型”に
対する気持ちに変化があったとしても不思議なことでは
ありません。

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尚、ボンネットを廃し、前面を貫通形に変更するに当たっては
当然技術の進歩がありました。

そもそもボンネットの中には、騒音の元となる電動発電機や
コンプレッサーが設置されていました。当然これは走行時の
騒音となるこれらの機器を客室から最も遠ざける手段として
ボンネットに格納したわけです。

考えようによっては、デザイン性が素晴らしいのでボンネット
型にしたわけではなく、技術的な騒音対策の目的と合致した
ことからボンネット型になったとも言えます。

その後、技術の進歩と共に小型・静音化が進み、車両の床下に
格納しても問題なくなった事から、ボンネット型でない先頭車を
デザインする事が出来るようになったわけです。

一概に同じ扱いにしてよいものかどうか分かりませんが、151系の
登場が1958年(昭和33年)ですから、国鉄特急初の貫通扉採用車両、
581系の誕生1967年(昭和42年)までで計算してみると10年もしない
期間で小型・静音化を達成している事になります。

こうして、列車運用の目的とそれを支える技術とが噛みあいながら、
電車特急の顔がボンネットスタイルから“電気釜”へと移り変わって
いったのでした。

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トピックス2:JR西日本~183系に成った485系~

1986年(昭和61年)、福知山線や山陰本線の一部区間が交流ではなく
直流にて電化された。

しかし、西日本地域には直流区間用の電車が無かった為、紀勢
本線の特急「くろしお」で運用していた交直両用の485系を改造し、
該当区間に投入。交直両用の485系を走行させるために交流
機器の撤去、もしくは使用を停止する事で運行させたのだった。

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左:KATO485系200番台 右:TOMIX183系(JR西日本オリジナル塗装)

当然のことながら183系は485系を転用しているので、
見比べてみても車体のフォルムは瓜二つだ。
但し、厳密に言うとベース車両(種車)の違いによって
細かな違いがあり、10以上もの区分に分かれていた。

ちなみにJR西日本の183系は全て485系と、その後の489系を
改造したものだが、途中からJR西日本のオリジナル塗装に
変更されている。このカラーリングは何とも関西らしい塗装だ。

丁度、国鉄の民営化でドタバタしていた時代。急遽(?)485系を
持ってきて、183系に改造しなければならなかった経緯にも
きっと国鉄の苦しいエピソードが眠っているのだろう。
尚、これらの車体は2013年に全車が廃車されている。
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category: 151系こだま・つばめ

Posted on 2021/08/27 Fri.   edit  |  tb: 0   cm: 0