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電源車~小さな窓から見える存在感~ 

 
「どうやって、カニの存在感を出したものか…」 

電源車のカニは一般の乗客は立ち入る事が出来ず、車内の内装も
ブルトレ編成の他の寝台車や食堂車とは趣がまったく異なっています。

また、模型の成型自体も他の寝台客車と比べ、シンプルな造りに
なっており、車体側面の窓ガラスから見える車内部分も限定的。

これまで製作室では模型の編成に合わせて、電源車「マヤ20」「カニ21」
「カニ22」、そして「カニ24」をそれぞれシール化してきましたが、
今回は製作室で電源車カニのシールを製作することになった当時の
苦悩(?)エピソードをご紹介させていただきます。 

2022-08-10-01.jpg
カニ24

さて、ブログ冒頭の文章に戻ります。
「どうやって、カニの存在感を出したものか…」 

カニのシールはこれまでのシール製作手法や考え方は通用しない
のが明らかです。 そこで、スタッフ陣でどのような内装シールを
製作していくべきかディスカッションの場を設ける事になったのでした。

その話し合いの中で、あるスタッフが「車内の話ではないが、カニの
特徴といえばあの爆音だ」と発言。

他のスタッフは爆音?といった表情でしたが、そこで「面白いかも
しれない」とは長老の言です。続けてこんな逸話があると言葉を
続けたのでした。

それはある映画撮影でのエピソードで、ある撮影現場で小道具さんが
撮影セットの机の引き出しの中にも、作品の時代に合わせた小物を
きちんと入れていたというもので、それを見た役者さんが感動した
という話です。

見えないところにまで小物を入れておく。一般的には黒澤明監督の
「赤ひげ」でのエピソードとして有名な話ですが、実際にはこうした
製作の裏話はかなりの現場であるのではないでしょうか。

この話を受けて、模型ボディの窓ガラスからは全く見えない発電機の
前後位側や上部のところまでシール化していくという事で話がまとまって
いきました。

2022-08-08-03.jpg
20系さくらのカニ22

それと同時に、カニでは2基の発電機から爆音が聞こえて
来るようなシールのデザインを目指してみようということに。
しかし、音が聞こえて来るようなシールデザインを目指すとは
言っても具体的にはどうすればよいのか。

決して合理的な説明が出来るような話ではありませんが、
製作室が辿り着いたのが、これまでのシール製作の技術を
超えた“超絶技巧”表現による発電機デザインに挑戦してみよう
というものでした。

という事で、ここからは超絶技巧による再現にこだわったディーゼル
発電機のデザインデータを紹介していきます。

電源車の発電機部分は、ブルトレに限らずメイクアップシールの
すべてのシールの中で、最もメカニック的なデザインを必要とする
部分になります。

2022-08-08-04.jpg
カニ21のディーゼル機関発電機図面データ

上の画像はカニ21のディーゼル機関発電機を製図したものです。
ディーゼル発電機自体が複雑な構造をしているだけではなく、
参考となる資料も少ない為、デザイン化は困難を極めます。

2022-08-08-01.jpg
カニ21・カニ22シール画像データ

DMF31系エンジンとPAG1形発電機2基が搭載された
カニ21とカニ22。そのあまりの音の大きさ故に、ディーゼル
機関に消音機を取り付けて防音対策が取られました。

2022-08-08-02.jpg
カニ22の大容量電動発電機

カニ22ではパンタグラフによる集電で稼働する大容量
発電機も追加されており、さくら用のカニ22では大容量
発電機もデザインしています。

次はカニ24の発電機の図面とデザイン化したシールの
画像データです。

2022-08-08-06.jpg
カニ24のディーゼル機関発電機と図面データ

画像を見るとまるで設計図面のようですが、この後の陰影付けを
行っていく上で、これくらい細かな図面を起こしておかなければ、
リアルな発電機のデザインを製作する事が出来ません。

2022-08-08-05.jpg
24系25形はやぶさ用のカニ24シール画像データ

カニ24にはディーゼル機関DMF31Z系エンジンと発電機DM95を
組合わせたディーゼル発電装置が2基搭載されています。

2022-08-08-07.jpg
24系金帯あさかぜ用のカニ24シール画像データ

「はやぶさ」用のカニ24は0番台、「金帯あさかぜ」用の
カニ24は100番台となっており、ディーゼル発電装置の
デザインも違ったものになっています。

2022-08-08-08.jpg
24系25形富士用のカニ24シール画像データ

24系25形「富士」用のカニ24では、ディーゼル機関発電機は
フィルムシールではなくマットシールで再現するように
なっており、他の「はやぶさ」「あさかぜ」のプラバン加工
によるディーゼル機関発電機とは再現方法が異なっています。

2022-08-08-09.jpg2022-08-08-10.jpg
ディーゼル機関発電機

メイクアップシールでは模型の成型も考慮に入れて、製品によって
ディーゼル機関発電機の再現に違いがあります。そうしたこともあり、
これまでカニ24はトータルで5タイプの発電機をデザインしてきました。
尚、今回のブログでは触れていませんが、北斗星とあけぼの用の
カニ24には耐寒と防音対策をしたエンジンとしてデザインをしています。

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24系25形はやぶさ用のカニ24

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はやぶさ用カニ24の乗務員室と消火用ボンベ

また、カニ前面の運転台スペースの壁面シールの
ボタン類や荷物室の1番後ろ側に備えられている
消化用の炭酸ガスボンベなどもシール化しています。

2022-08-08-12.jpg2022-08-08-13.jpg
小さな窓から見える存在感をシールで

発電機の爆音が轟いているようなシールデザインを目指し、超絶技巧の
シール表現に挑戦するというのは、見方によっては作り手側の自己満足
でしかないのかもしれません。

しかし只の自己満足に留まらず、そのこだわりがあるからこそシール
貼付を施した電源車の存在感の魅力が増すのだと信じ、更にはシール
加工をいただいたお客様に、ブルートレインが走行していた時の爆音が
聞こえてくるようだ、と感じていただければ望外の喜びなのでした。

という事で今回はカニ21・22とカニ24のシールデザインデータを中心に、
電源車の製作裏話をご紹介させていただきました。
 
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追記:本ブログ掲載後、当店のお客様よりメイクアップシールを
貼ったカニ24のお写真とメッセージを頂戴いたしましたので、
最後にご紹介いたします。

2022-08-10-04.jpg
発電機室に作業員の姿が!?

“ブルートレインの電源車は発電機の唸り音に力強さを感じ、
それがなんと客車客室の電源の為だけに動いている。
そのような存在にブルートレインが現役であった当時は
頼もしさを感じる一方、窓が小さく中の様子がどのように
なってるのか興味津々で駅に停車してる電源の小さな汚れた
窓から中の様子を伺ってました。
昔、駅に停車していた電源車を覗き込んだのと同様に
今はNゲージ車両の窓から覗き込んでます。”
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category: 富塚オリジナル

Posted on 2022/08/10 Wed.   edit  |  tb: 0   cm: 0  

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